2016/06/27
プログラミングと教育
東京都渋谷区にある小学生対象のプログラミング教室スモールトレインで講師をしております福井です。第4回目はアランケイのエッセイ「すべての年齢の「子供たち」のためにパーソナルコンピュータ」についてです。これは阿部和弘『小学生からはじめるわくわくプログラミング』日経BP、2013年に掲載されているエッセイです。このエッセイそのものは1972年に書かれたものなのですが、大変面白い内容です。ここではその一部を紹介しますので、興味のある方は本を購入されることをお勧めします。
DynaBookと教育
子供たちがどのように知識を獲得していくか、またそれに対してプログラミングがどのような役割を果たせるのかということに対して、大変示唆に富んだ内容になっています。その中でも特に面白いのがシモーア・パパートを紹介している部分です。アランケイはシモーア・パパートからかなり影響を受けているようです。
「コンピュータが子供をプログラミングすべきか、それとも子供がコンピュータをプログラムするべきか」
シモーア・パパートはLOGO言語を開発した人物で発達心理学者でもあり、数学者でもあります。パパートは「子供が自らの目的のために自分でプログラムを書ける環境を通して「考えることを子供に教える」」(133頁)ことを目指していました。
アランケイはパパートの考え方に共感しつつ、次のように述べます。
子供たちに特定の領域で何かを学んでほしい―。このとき私たちに問われているのは、感性と技術を身につける途上で、本物かつ楽しい何かを「する」手段を子供たちに提供できるかどうかです。絵を描くのは難しいことですが、技術を完全に習得できていなくても、絵を完成させる喜びは味わえます。そのため、練習を楽しめるのです(134頁)。
算数が好きな子供は答えがいつも○になるから好きなのではありません。算数の問題を考えることそのものが楽しい子供がとても多い。私はこうした面白さを多くの子供たちが体験できないかと常々考えてきました。
算数の場合、いくつか考え方があるとはいえ、難しい問題になるとひらめきが無ければ解けない問題が多くあります。また時間との戦いでもあります。しかし、プログラミングの場合、条件さえ正しくプログラミングできれば答えは出ます。なぜならコンピュータが計算してくれるからです。
答えが間違っていたらもう一度コードを見直して、条件の見落としはないか考えることが可能ですし、さまざまなやり方(プログラミング)で答えを出しに行くこともでき、考え方は一つではありません。プログラミングというのは型があるのに、いや型があるからかなり自由に記述できます。
課題は私たちが用意するのですが、それに対する答え(プログラミング)は多様です。そうした経験も積むことで、算数もプログラミングも楽しくなり、考えることが楽しいという子供たちが増えてほしい、そう願いつつ日々教育しているところです。
彼らは(かけ算を「する」のではなく)、かけ算を使って何かを「する」のです(134頁)。
プログラミングするのであれば足し算の繰り返しでも答えが出ます。別にかけ算を使わなくてもいいのです。プログラミングすることで、なぜかけ算が必要なのかも理解できるようになります。割り算と引き算の関係もより理解できるようになります。そうした内容をカリキュラムに盛り込みました。
今現在、説明会&体験会を実施中ですので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。